2012年03月の記事

20年目の楽しい夜


 昨晩はとても楽しい夜だった。20年ほど前に僕が豊田市で店舗デザインを手がけたパブレストランのオーナーから、借地契約を終えてこの3月いっぱいで店を閉店するので、ぜひとも語り合いたいとお誘いを受けたのだ。店の名は「MERCADO/メルカド」。サンタフェの酒場をメインコンセプトにして、部屋ごとに段差のある空間設計や、椅子や家具のオリジナルデザイン、自ら造った木製装飾品やサインなどなど、当時、オーナーも僕も設計士も一緒になってずいぶんノリノリで造った店だ。若かったなぁ。おかげで豊田市の都市景観賞もいただいた。リーズナブルでおいしい料理と豊富な酒類、そしていいバーテンダーがいるということもあって人気店らしく、昨晩も満員状態だった。席数の多いこういう大型店舗を当時のコンセプトのままに、20年営業を続けるのは並大抵ではない。たいがいは迷い変形し店替えをしてしまう。当時参考にさせてもらった店やライバル店は今や皆無くなってしまっている。「あなたのコンセプト設計が良かったのだ」とオーナーはおだててくれたが、「いい時に欲をかかず、悪い時にうろたえず」といった忍耐の経営と努力があったからだと思う。20年で5人の若い経営者をこの店から排出し、昔の常連の子供の世代がまた店にやってくるという幸せもつかんでいる。「20年の営業と言うのは商売と言うよりひとつの文化を育むことでもあると思うんだ」とのオーナーの話に、テキーラやらラムやらすっかり酔ってしまった。「居心地のいい空間なのに壊してしまうのは惜しい」とお客さんから声も上がっていると言う。うれしいねぇ。この店は今の店長がまた豊田のどこかで同じ名前で看板や調度品ごと引き継いでオープンする予定だという。
「MERCADO」豊田市小坂本町5-13-5


自前写真


 僕がデザインしたカタログの印刷アップ見本が送られてきた。今回に限ったことではないが、僕が旅行先で撮影した写真を仕事で利用してしまうことが最近多い。このカタログの表紙は昨年夏のイギリス旅行先で撮影した庭先の大木だし、バックにあるものもストラトフォード・アポン・エイボンの広場で撮ったスナップだ。別段無理矢理自前写真に持って行ってるわけではないし、カメラマンさんの領域を侵す気も無いのだが、自分が撮影した写真はやはり他で探すより自分の感覚に合っていて、第一自分の写真アルバムの中に「あの写真があったな」などとすぐに思いついてしまうからだ。僕は旅行先で、別に観光スポットとか記念とか全く関係なく、思い付いたもの、気になったもの、すべて撮ってしまうことにしている。ただの空の写真とか、グラスの水に差し込んだ光とか、道路脇の石ころとか枯れ葉のアップが有効利用できたケースもある。それもこれも、最近のデジタルカメラの性能向上に寄るところが大きい。実際ポケットに入れているCanonIXYで撮った写真を結構印刷原稿として使用している。もちろんカメラマンにお願いする写真やリース写真の利用がほとんどなわけで、そこんところはカメラマンさん、よろしくです。

機内で炊きたてご飯


 今回のハワイは故あって贅沢にもビジネスクラスで出かけた。そこで出た機内食に炊きたてご飯があった。南魚沼産のコシヒカリの生米を機内で火加減を調節しながら炊飯しているという。気圧の違いがあるだろうけどどうやってるんだろう。JALのこのサービスは以前からあるのは知っていたが、 これはうれしいし、おいしい。客室乗務員は仕事が大変だろうけどJALはそれなりにがんばっているんだなぁ。写真は上がホノルル→名古屋便、下が名古屋→ホノルル便で和食を選んだもの。下は香川御膳?とかいうローカル色を出した献立。ちまちました割子型が最近のかたちのようだ。

 

亡き母をハワイに連れてきた


 今、ワイキキにやってきている。自分が来たかったこともあるが、昨年3月15日に亡くなった母親がハワイが大好きだったこともあって、先日一周忌を終え、彼女をハワイに連れてきたのである。母親は蒲郡の海辺で育った関係で海が大好きだった。生前、何度か一緒にハワイ各島にでかけるうち、彼女はハワイをすごく気に入ったようだった。マウイ島のハナで、彼女が父とふたりだけで抜け出し、一軒だけあるハセガワジェネラルストアで、歯磨き粉と間違えて入れ歯固定剤を買ってきたことを思い出した。ALOHA!

みんなイイ子だ


 もう20年ぐらい前から思っていることだけど、近頃の日本の若いアーティストやPOP歌手が歌っている曲の歌詞が、妙に「イイ子」なのが気になっている。「前に進もう」とか「力を込めて」とか「元気を出して」とか「振り向かず行こう」とか「勇気を持って」とか。それが、ラップミュージックにしてもロックにしても、アバンギャルドな音楽にしても、よーく歌詞を聞いているとやっぱり「イイ子」的な歌詞が多くて不思議。元気でイイ子が増えるのはいいが、なんかこう、ちょっとうすら気持ち悪い感じがしたりするのは僕がオジサンだからか。僕らの頃の方が反体制的で、過激で、世間を斜めから見ていて、破天荒で、むちゃくちゃな歌が多かった気がする。あえて言うが、東日本大震災の被災地に向けてやたら繰り返される応援フレーズ「がんばって」や「絆」とかも、なにかリアルな響きを感じないのは僕がひねくれたオジサンだからだろうか。被災地にあるのは、慟哭や激情に近いものであって、打ちひしがれた顔、計り知れぬ絶望感、うろたえ、失望の底、限りない迷い、というものだと思うのだが、思いっきり泣いて泣き明かす様子も伝わっては来ず、元気で前向きな人々のような人々が前に出ていて、報道も美しくまとめられていて、なにか国民皆で「イイ子」を演じようとしているのではないかという一抹の不安を感じるのは僕がオジサンだからだろうか。

PEACE JAPAN

雪風呂

 寒い冬が続いたと言うのに、雪にあこがれ、湯けむりにあこがれ、昨日一昨日と万座温泉に行って来た。冬の名残りの雪景色を見ながら温泉につかる。名残りと言っても標高1800mの豪雪。あれは雪か山かそれとも湯けむりか。もうもうたる白い世界で白濁の湯が体に染みる。