2010年02月28日の記事

趣味そば

昨夜はとある土壁の別荘(この場所についての説明は長くなるので省略)で、蕎麦の巨匠(この人物についての説明はもっと長くなるので省略)の手による蕎麦をいただいた。蕎麦粉は越前の高級そば粉であるという。巨匠が「どうだ!」といわんばかりにテーブルの上に持ってきた蕎麦は確かに「まいりました!」というおいしさだった。巨匠の蕎麦打ちは趣味である。蕎麦打ちにハマる男は世の中に多い。この人物は蕎麦の道具を、蕎麦打ち皿から麺きり包丁、蕎麦茹での為の厨房セットまで取り揃えて本格的(当人から言わせれば的でなく本格)なハマり方で、客人に「ウマい蕎麦」を振る舞っている。こういう類いは講釈が多くてうるさいのだが、こちらにしてみれば、うなづいて付き合ってさえいればおいしい蕎麦にありつけるのだからお得ってものである。ウマい蕎麦屋の親父に喰わせて「どうだ、お前んとことどっちがウマい?」と問いただすのが、彼の珠玉の楽しみらしい。蕎麦屋の親父から返事は返ってこない。ある時、店の奥さんにこっそり聞いたら「あなた達は趣味なので、高い蕎麦粉やら、高級な鰹節など使って金に糸目をつけずやれるでしょうが、ウチは商売なのよ。」と答えが返ってきたという。「ウマい蕎麦は、使う材料なんだ!いい材料を使えば誰でもできるのよ!」と巨匠は笑いながら講釈を垂れるのであった。