スタジオ撮影

おとといは名古屋でスタジオ撮影の立ち会いをした。グラフィックデザイナーにとってカメラマンの世界はホームでありながらアウェイでもある。カメラマンは自分のイメージを描いてくれる親愛なる協力者でありながら、意見を戦わせる敵でもあるのだ。だから撮影現場というのは楽しい試合場である。さて、今回のこのスタジオにはクライアントやカメラマンだけでなく、フラワーアレンジメントの世界で活躍しているアーティストも同席している。撮影するハードウエア商品のイメージに普通とは違った花のイメージを添えようとお願いしたのだ。庭の花でもなく生け花でもなく、少し異次元的な花の世界を生けてほしいとお願いした。彼はスタジオの隅で商品イメージに合わせた花をもくもくと、しかし、軽々と生けている。すごいものだ。葉を丸めたり、茎を束ねたり、見ていると植物はまるで使い慣れた絵の具であるかのようである。打ち合わせの段階で彼の頭の中にはイメージがすでに出来上がっているという。もちろん彼の描く花の世界が僕のイメージとイコールとは限らない。だから、彼に意見を言ったりもする。それは違うんじゃない?とか、花の事を何も知らない素人のくせに。しかし、デザイナーは一つのイメージを実現する責任があるのだ。かくしてスタジオは、一見和やかでありながら、カメラマン、クライアント、フラワーアーティスト、デザイナーの4つ巴の戦いが静かに行われているのである。撮影現場というのはそこが面白い。ほだら?

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