みんなイイ子だ


 もう20年ぐらい前から思っていることだけど、近頃の日本の若いアーティストやPOP歌手が歌っている曲の歌詞が、妙に「イイ子」なのが気になっている。「前に進もう」とか「力を込めて」とか「元気を出して」とか「振り向かず行こう」とか「勇気を持って」とか。それが、ラップミュージックにしてもロックにしても、アバンギャルドな音楽にしても、よーく歌詞を聞いているとやっぱり「イイ子」的な歌詞が多くて不思議。元気でイイ子が増えるのはいいが、なんかこう、ちょっとうすら気持ち悪い感じがしたりするのは僕がオジサンだからか。僕らの頃の方が反体制的で、過激で、世間を斜めから見ていて、破天荒で、むちゃくちゃな歌が多かった気がする。あえて言うが、東日本大震災の被災地に向けてやたら繰り返される応援フレーズ「がんばって」や「絆」とかも、なにかリアルな響きを感じないのは僕がひねくれたオジサンだからだろうか。被災地にあるのは、慟哭や激情に近いものであって、打ちひしがれた顔、計り知れぬ絶望感、うろたえ、失望の底、限りない迷い、というものだと思うのだが、思いっきり泣いて泣き明かす様子も伝わっては来ず、元気で前向きな人々のような人々が前に出ていて、報道も美しくまとめられていて、なにか国民皆で「イイ子」を演じようとしているのではないかという一抹の不安を感じるのは僕がオジサンだからだろうか。

コメントが2個あります

  1. よっぺー より:

    でーたー、きずなー。
    本来の絆の言葉はおいておいて、
    今ちまたにあふれる「絆」という言葉はどーしても苦手よ〜。
    もちろん東北の方や長野で地震にあわれた方に、
    何も思わずにいられないわけないのだけど、
    絆の一人歩きはどうも。
    絆と一億玉砕がかぶる。

  2. KID より:

    よっぺーさんへ

    そうよね。「絆」は重みのある言葉だけど、なんとなく意味合いが軽くなった気がしてしまう。
    もちろん、何も思わずにいられないわけだけど。

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